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警察官に知的障害のある人を理解してもらおう
- 「福祉」だけでは知的障害のある人を守ることはできません。誘拐、殺人、リンチ、恐喝、レイプ、悪質商法による詐欺……。あまり知られてはいませんが、知的障害のある人は実に多くの犯罪被害にあっています。施設から地域へと障害者の生活の場が移るにつれて、ますます犯罪やトラブルに巻き込まれる障害者は増えていくでしょう。
ナンシー・フィッツシモンズ=コバというアメリカ・イリノイ州の研究者は、地域で暮らす知的障害者を守るためには警察の力が必要だと考え、障害者や親や福祉職員と警察官が一緒に知的障害者の権利擁護を学ぶ勉強会をつくりました。それがもとになり、マリリン・ジョンソンという知的障害者の事件を専門的に捜査する刑事が誕生しました。
どんな被害にあっても訴えることのできない知的障害者は大勢います。<仕返しが怖い> <どうせ何を言っても無駄だ> <自分にはそんな権利はない> <親に迷惑をかけたくない>。長い間虐げられ孤立している障害者はそんな心理状況に陥り、なかなか抜け出せないと言われます。また、多くの人がこんな風に知的障害者のことを思っています。<障害者は正確に記憶する能力が劣っており、彼らの証言は信用できない><障害者は痛みに鈍感で、被害にあってもそんなに苦痛を感じない>。
ナンシーやマリリンは、知的障害者のこうした特性をよく理解し、障害者が犯罪被害にあわないためにどうしたらよいのか、被害にあったときにはどうすれば救済できるのか、について取り組んでいるのです。
日本でもマリリンのような警察官がぜひとも必要だと思い、私たちは、2001年の春から警察庁に協力を求めてきました。そして、厚生科学研究班(堀江まゆみ主任研究者)と全日本育成会が共同で「警察プロジェクト」を始めました。当初の活動は以下の5点に重点が置かれていました。
(1)育成会会員に「警察との出会い」アンケートを実施する。
(2)警察官用の「知的障害ハンドブック」を作成し、警察に配布する。
(3)東京、大阪、札幌をモデル地区にして警察と勉強会をする。
(4)一般向けの「知的障害ハンドブック」を作成する。
(5)東京、大阪、札幌の親、福祉職員、教職員を対象に権利擁護のアンケート調査をし、
- それをきっかけに地域で権利擁護のネットワークを築く。
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